人を許すためのちょっとしたコツ

日々の棚卸

怒りや憎しみに体が震えるようなことは

誰にとっても嫌なものですが、

仮にそんな相手がいるとすると、

当然ですがとても日常が生きづらい。

そういう人が職場にいて、

しかも上司だったり、

自分の仕事のキーパーソンだったりすると、

これはもう会社に行くことが

苦痛以外の何ものでもなくなります。

伴侶がそんな存在になってしまったら、

何のための結婚生活かと悔いるし、

陰のアンケートをとれば

実は私も、と答える方は

かなりの数いるのかも?

(というか、そういう“雑談”を

たまに受けます。

カウンセリングではないので、

冗談ということで受け流していますが…)

相手が肉親だったりすると、

老後の世話を見たり

これ以上接触したり、

することが嫌になることもあるでしょう。

そして、そんな日々を送るうち、

誰もが偉そうに見えたり、

胡散臭く感じられたり、

まるで自分を騙そうとしているように、

あるいは支配しようとしているように、

力を奪っていこうとするように

思えてしまうようになることも

あるかもしれません。

 

こうなってくると、

何かにつけて感情を波立たせやすくなり、

それが人の関係に影響を及ぼすようになり、

例えば職場に居づらくなったり、

自分が追い込まれたりしてしまい、

心の中に怨嗟の暗い炎が渦巻く、

などということも起こりえます。

そんな状況に陥り、

どうにもならない、

どうしたらよいかわからない

と混乱する中で、

ここまで自分を理不尽に苦しめる

相手をどうにかしてしまおう、

時には恨んで呪い殺してしまいたい、

とさえ願うような、

穏やかでない気持ちが

ふつふつと湧いてくることも。

 

その一連の感情は有害無益、

自分が想像する以上に、

自分自身の身も心も

文字通りボロボロになるほど

傷つける行為であることに

気づけないままでいると、

心と体の生活習慣病になって

自分自身が取り返しのつかない状態まで

追い込まれることさえあります。

 

実際、そのことに気づく人もいれば、

気づかない人もいるけれど、

“それとは別に”、

相手を許そうと思うようになる人もいる。

相手を憎み嫌い続けることが、

“理由はどうあれ”

日常を生きづらくしていると

直感的に感じ取るからです。

 

さて、相手を許そうとしたとして…、

なかなかうまくいきませんよね。

かく言う私もそうでした。

一度相手を嫌ってしまうと、

なかなか再解釈はできないものです。

何せ、“絶対に”自分は正しいのですから。

ある価値観の中で相手に対して

悪感情を持ってしまった。

それは人生の中では確固たる解釈で

おいそれとは譲れるものじゃない…。

 

それを変えようとしている。

その人を許そうとしている。

許したいか、ではなく

許すことにしている。

ということであれは、

別の価値観をあてはめられる状況に

身を置く必要があります。

 

コツは2つ。

 

一つは、

怒り憎しみを持つほど

相手の責任にすることが、

自分がよい人生を送る上で

先にも述べたように、有害無益であり、

全く無意味であることを理解すること。

私たちは、日々様々な感情を

心の中に湧きたたせていますが、

その感情をいくつもの選択肢として

扱うことはできます。

つまり、怒り憎しみ以外の感情の選択肢は

確実にあって、

それを選択することは可能だ、

ということです。

無意味なことをやるのは勝手ですが、

そんな暇があったら別のことをすればいいし、

怒り憎しみに包まれていて傷つくのは

先にも言った通り“自分”なのだから、

そんなもったいない時間の過ごし方はない。

 

もう一つ。これが大きい。

相手を許す前にまず、

自分を許し、寄り添うんです。

相手を責めている時、

純粋に相手を責めているだけの人は

おそらくいません。

どこかで、自分の側の不備を

認めている自分があって、

それを否認するためを含めて

相手を責めている。

そんなメカニズムが働いています。

そう感じてしまう自分、

そして相手を憎んでしまう自分を許すんです。

しょうがない、

自分は人を受け入れる器がなくて、

あいつのことが気に入らないんだな、と。

そう感じるのは仕方がないけど、

時間もエネルギーももったいないから

ほどほどにしとこう、と。

それが効果を発揮してくると、

徐々に相手に対する悪感情が収まっていきます。

いきなり、“許す”ではないんです。

その反対の、

悪感情をおさめていく見方をするうちに

出てくる余裕の中で、

自然に許しの心が湧いてくるんです。

 

まず自分を許すことに注力しましょう。

それから相手。

そうしないと誰も許せないし、

先に進めないから。

繰り返しになりますが、

自分を含めた誰かを

怒り、憎むことは、あまりに無駄です。

怒りは自己主張の一部、

という見方もあるでしょうから、

感じること自体は仕方がないかもしれません。

ただ、その感情にのみ込まれて

自分が苦しむことがないようにしましょう。

 

ー今回の表紙画像ー

『故郷の川_国道橋下から上を望む』

川を見ると、なんだか落ち着く。この角度、あまり見たことなかったな。