心のホメオスタシス

日々の棚卸

 

運が良い、運が悪い、といいます。

私もたまにそう思う時があります。

 

あなたはいかがでしょうか。

 

 

ついている、ついていない、

と言うと、

 

その場の偶然が

良い方に出るか、良くない方に出るか、

そういった感じ方でしょうか。

 

それが、

 

運が良い、運が良くない、

という場合には、

 

これまでの人生の偶然が、

良い方に出るか、良くない方に出るか、

そういった感じ方になる気がします。

 

良い良くないは、

実際に積み重なった経験もあれば、

思い込みの部分もあるのかもしれません。

 

また、運の良し悪しの感じ方には、

経済のようにというか、

ある種の加速性があります。

 

インフレ、デフレはともに、

物の価値が上がり続ける、または

下がり続けることですが、

 

運が良い、運が良くない、の感じ方もまた、

そこに加速性があると私は考えています。

 

例えば、

 

楽しいこと、嬉しいことを

人生の初期に多く経験する時間が種の場合、

その後に少々嫌なことがあっても、

 

楽しいこと、嬉しいことを

日常の中に探し、創り出す癖がつき、

楽しさ、嬉しさを継続させようとします。

 

例え、疲れた時や、

不安で包まれてしまった時も、

 

少し休んでから、

また日常に楽しさや嬉しさを紡ごうとして

やはり探したり創り出したりするでしょう。

 

ですが、

 

楽しさ、嬉しさ、そして、

そこに自分があることの当然感とでも

言うべき感覚を上回るような、

 

哀しい出来事が何度も続いたり、

 

幸福感を一撃で永久に

吹っ飛ばしてしまうような

苦しい、残酷な出来事があると、

 

性癖や気質にまで染み付いたはずの

楽しさや嬉しさを感じ、見つけ出し、

持続させる感覚が

影を潜めるようになります。

 

そして今度は、それら、つまり

哀しく苦しいことが主であるという感覚を

“維持”しようとします。

 

 

ホメオスタシスは恒常性維持機能と訳され、

動物の体やある種のシステムなどに

適用される言葉ですが、

 

これは決して肉体ばかりではなく

私たちの心、感情にも適用できる

言葉ではないかと私は考えています。

 

あらゆるものが

ハードウェアとソフトウェアの

組み合わせとして機能するように、

 

私たちの人生もまた、

それまでの生き方そのものを

維持しようとするべく、

 

身体(ハードウェア)と心(ソフトウェア)の

組み合わせとして機能しています。

 

そして、最も自分が思い込んでいる

人生の在り方を実現しようと、

あるいは継続しようと、

身体と心を調整しているのです。

 

 

幸福学の研究をされている

慶應大学の前野隆司氏は、

著書『脳はなぜ心を作ったか』の中で

 

私たちは、

自分が意識するよりもコンマ数秒早く、

体が所望の行動を始めていると言います。

 

実際に、意識のトリガーとなる

脳の電気信号のモニターよりも

行動を始める方が早いということが

実測されているそうで、

 

これは言い換えれば、

頭で考えるより前に、

感情が宿る体の感覚が人を動かしている、

とも考えられます。

 

私たちはそのようにして、

一部の人が“癖”と呼ぶ反応を繰り返し、

 

それによって、

望むと望まざるとにかかわらず

“その”日常を“維持”しています。

 

それが今のあなたの人生を

背後で彩っているものの正体なのです。

 

その人生が苦しく辛いなら、

『意識して』そこに注目し、

 

自分がなぜそんなに

『偏った』『反応』をするのかを

つぶさに観察してみてください。

 

自分一人で難しければ、

誰かに聞いてみてもいいでしょう。

 

親しい人、いつもそばにいる人に

尋ねてみてください。

 

同時に、最初にまず、

これだけは自身に問うてみてください。

 

本当にそこから、その人生から

抜け出したいか、

 

本当に新しい場所へ向かいたいか、

 

本当に希望を探して、

本当に“あの時”を新しく実現したいか。

 

なぜこんなことをあらためて問うか

と言うと、

 

肝心の症状がなくなったら、

自分がどこにいるのかわからなくなって、

途方に暮れてしまったりするからです。

 

これは極端な例ですが、

 

アルコール依存症は良くない状態だからと

周囲が協力して依存症者から

症状を取り除いたら、

 

アルコールで覆っていた感情の裏側に

凄まじい怒りと自己嫌悪が見つかり、

そこに耐えきれずに亡くなってしまった、

 

ということさえ、まれに起こるからです。

 

ですので、しっかりと自分と向き合い、

答えを出した上で、

 

それでもやはり答えがYesなら、

次のことを最初に行ってください。

 

その見方、感じ方が、正しいかどうか、

『ではなく』

 

そう悪く捉えてしまう、

悪意を持ってしまう、

哀しく辛い方向へ解釈してしまう、

 

そんな自分と真正面から向き合い、

抱きしめること、

 

誰でもない、

親でも兄弟でも子供でも恋人でもない、

あなた自身をしっかりと、

二度と手放さないように抱きしめること、

 

そんな反応をして苦しんでいる自分に、

それ以外の人生もあり得ることを

信じるように一緒に歩むと誓うこと。

 

自分の反応を見つめ直し、

改めていくのはその次のステップです。

 

自分の反応に影響を与えた過去を

あきらめることなく棚卸しします。

 

そこで自らに生じたショック、

身体の内側から崩壊するような

脱力感、絶望、哀しみ、

 

それらから派生して生じた

凄まじい怒り、恨み、

そういったものを受け入れ、

 

その上で、

そこから生じたであろう反応を

一つ一つ取り出します。

 

確実でなくてもいいんです。

 

変えることで楽になる反応、

幸せにつながるようになるであろう

反応を取り出し、

 

他にどういう解釈ができるか、

どう解釈するのが

自分にとっての幸せかを、

 

身体の感覚と相談して決めていきましょう。

 

間違っても、

良識とか道徳などを持ち出さないことだけは

強調したいところです。。

 

人生には良い時もそうでないときもあります。

 

それをどう受け止めて、どう反応するかは

あなたが変えられます。

 

それが日常をも変え、

ひいては人生も変えていくのです。

 

それは、

今反応している自分を切り離してはできない、

あなただけができる作業なのです。

 

あなたができる、

これは希望以外の何ものでもないですよね。

 

 

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ー今回の表紙画像ー

『変な雲 ~ 電車の車窓から』

夜の川に飼っているウナ君の餌を採りに行くと、

マンション群の上空にかかる月が見えた。