あなたが必要な自分と出会うために

日々の棚卸

 

世の中には、知っているだけでは

どうしようもないことがあります。

 

知っていることは確かに知識なのだけど、

それを知っていて自慢げに語られても

大抵の人には迷惑がられるだけ。

 

その知識を吸収したのには、

何か理由なり目的なりがあったはずで、

そこがどうなったのかがわからない。

 

一方で、強く願う目標があって、

ああなりたい、こうありたいと思うのだけど、

 

強く願っているだけでは

どうしようもないこともあります。

 

ネットを検索すれば、

大抵の情報は見つけられるけれど、

 

その目標と、検索したネットの内容を、

どう結びつけたらいいのかわからない。

 

何を調べて、どうつなげたらよいか、

それが知識であって、

知っていないとなかなか先へ進めない。。。

 

 

私たち一人ひとりの中には、

様々な私たちが存在しています。

 

それは、私やあなただけではなくて、

世界中のあらゆる人について言えることです。

 

そのことについては、以前にも何度か

お話しさせていただきました。

 

私たちの中の一人ひとりの私たちについては、

人によって表現方法が異なり、

 

平野敬一郎さんのように

分人と言う人もいれば、

自分群と表現することもあります。

 

私は、

 

これまで遠ざけていた自分、

見ないことにしていた自分、

ないことにしていた自分、

 

と邂逅し、

 

自分を一体化するといつも言っていますが、

これも同じ考え方に基づいています。

 

私たちの中の一人ひとりの私たちは

それぞれが感情を持っていています。

 

例えば、

 

怒っている、

拗ねている、

悲しんでいる、

僻んでいる、

憎んでいる、

落ち込んでいる、

怖がっている、

絶望している、

……

 

未来への不安や現在経験しているやりきれなさ、

過去から襲われるように追いつめられる

焦燥感などが、

 

これらの感情の理由なのかもしれません。

 

これらの感情群=自分群を【A】としましょう。

 

【A】は当然ですが、

できれば味わいたくない感情ですね。

 

反対に、

ホントは同じくらい私たちの中に、

存在している要素があります。

 

没頭している、

ウキウキしている、

ワクワクしている、

ヘラヘラしている、

感動している、

喜んでいる、

落ち着いている、

安心している、

妄想している、

大笑いしている、

楽しんでいる、

……

 

未来への希望や、

現在のめりこんでいる対象、

何かを信じていること、

 

過去の経験をエネルギーとした

困難へのへこたれなさなどが、

 

これらの感情の出処の一つなのかもしれません。

 

これらの感情群=自分群を【B】としましょう。

 

四六時中【B】であれば、よいでしょうね。

 

もし、長く【B】の自分を感じてないとすれば

もう眠ってしまっているのかもしれません。

 

普通と想定される人々は、

通常は【A】がいて、【B】がいて、

 

それらがない交ぜになった自分群を

形成しています。

 

そんなことはない、

自分の中はほとんどが【A】、

つまり辛い自分だけだという方も

おられるかもしれません。

 

そんな方にもあえて、

こう申し上げたいと思います。

 

いえいえ、まだあなたは、

【B】の自分と会ってない、というより

邂逅していないだけですよ、と。

 

なぜなら、いつしか眠ってしまったその人、

つまりもう一人のあなたを

目覚めさせていないでしょうから。

 

無視していた、

見ないようにしていた、

遠い昔においてきた、

 

そんな自分たちと再会するための

行動を“継続して”

実行していないでしょうから。

 

あなたの人生を良くすることができるのは

あなただけだというのは、

多くの人がわかっていると思います。

 

ただ、

日常が【A】と会うばかりで、

それが現在の世界の全てと受け止め、

 

それ以外の何かを試し続けているでしょうか。

 

先に【B】の自分はもう、

眠ってしまっているのでは、と

書きました。

 

おそらく、

それほどずれた解釈では

ないのではないでしょうか。

 

他の誰かが楽しんだこと、

他の誰かが感動したこと、

他の誰かが没頭したこと、

 

それらを試すな、とは言いませんが、

それがあなた自身にあてはまるとは

限りません。

 

大切なことは、

『心身と魂の奥底から』『臨場性を伴って』

実践できるようになることです。

 

その何かを見つけるには、

試行錯誤が必要になるでしょう。

 

どんな対象か、

どんなやり方か、

どんな環境でやるか、

 

などは、試してみないとわかりません。

 

だから、

最初はうまくいかないかもしれません。

 

かつての【B】の自分は、

与えられた環境で存在していたけれど、

 

大人になって、

様々な軋轢がある環境下で、

【B】の自分であるためには、

 

例外なく、

あなたなりの実践が必要になるからです。

 

実践とは、

練習であり、洞察であり、休息であり、

それらの継続を意味します。

 

抽象的な言葉を連ねてしまいましたが、

【B】の自分が目を覚まして

今のあなたと一体化するためには、

 

考え方、思考という知識に始まって

その考え方を実行して、

うまくいかないところは試し直してみる、

 

その繰り返しが必要になります。

 

こう書くと体育会系ののりのように

感じられるかもしれませんが、

そんなことは全くなくて、

 

日々の取り組みの中に、

『優先して』【B】の自分となるための時間を取り、

 

ルーティンでできることを実行し、

自分を棚卸しし、

 

どんなときに笑えるか、

どんな状況が落ち着けるか、

どんな方法なら楽しめるか、

どんなことに没頭できるか、

どんな環境なら休まるか、

 

そういったことを自分なりに

一つ一つ見つけ、

積み上げていくことです。

 

私たちが必要な、新しくて懐かしい

もう一人の私たちの存在を知り、

一体化していくためには、

 

楽しんだり、喜んだり、感動したり

と言った情動を持つそれぞれの自分を

しっかりと機能させることが必要です。

 

そのために得るべき知識があって、

眠っていたそれらの自分を目覚めさせ、

自分なりの試みを続けること、

 

その繰り返しの中で、

いつしか【A】のあなたより、

【B】のあなたに包まれるでしょう。

 

子供の頃に与えられなかった、

【B】を自分で生み出す自分なりの方法を

今、身に着ける時がきました。

 

このプロセス、楽しいですよ。

 

ー今回の表紙画像ー

『川の散歩道』