心理カウンセリングという領域は
前世紀の終わり頃から、
ゆっくりと巷に根付き始めていて、
私もまた、その昔に
その世界に厄介になった一人だということは
これまでにも何度か書いてきました。
その世界が自らの中に有効に作用した時に
どんな効用が得られるかについても、
自分なりに体感していて、
それを同じ状態にあるもう一人の
かつての私であり、
私の親兄弟のような誰かに
伝えることができれば、
というのが、
こうやって発信している理由でもあります。
ときどき、当時の私自身の状況についても
話が脱線しない程度に触れていますが
そもそも、
この世界にたどり着く人は誰もが
悩みを抱えていることを自覚していて、
人によっては本当に
二進も三進もいかなくなっています。
私の前でお話しする方に限らす、
カウンセリングや心理療法を
受けられる方の中には、
吐露される悩みとして述べられることが
代表的に1つ2つあったとしても、
本当は、それら以外の言葉にできない話が
日々の生活や自分の内側にある葛藤として
幾重にも重なり、
とても対応できないほどの数と重さを
解決しなければいけないと思って
ほとんど絶望の域に達していたりします。
クライアントさんが抱える問題の種類や、
性癖、背景などによって
悩みへ対処するためにどんな“方法”が
適しているかは異なる場合があります。
異なる場合がありますが、
悠々と、それでいて真剣に向き合うことを
心がけて接していけば、
曲がりなりにも成果が出始めるものです。
もっとも、
悠々と、
は、最初のうち、
なかなか難しいですけどね。
それができないから悩みを抱えてしまう
ということですから。
でも、そういった“方法”、
ただ機械的に実践するようなものは
一つもありません。
というか、表面的なHow toを学んだから
といって解決するわけじゃない。
これまでに何度かふれましたし、
これからも折に触れて書きますが、
私たちが、
今抱えている問題を昇華し、
納得のいく人生を、
気持ちの良い日々を、
かけがえのない自分を
生きていくためには
3つのフェーズをクリアする必要がある、
と思います。
一つ目は、自分とつながること。
この場ではとにかくまず、
自分が見失ったり、
遠ざけたりしている
自分と再会して、
それらの自分を受け入れることを
繰り返しすすめています。
二つ目は、世の中とつながること。
これは実践のフェーズです。
一つ目の自分とつながることに
多少なりとも実感が持ててきたら
このフェーズに進む、
と言いたいところですが、
これはできれば一つ目と並行して進めるのが
ベターです。
三つめは、新しい生活・働き方の実現。
文字通り、自分とつながり、世の中と
つながる中で体得・体感した自分の想いと
実践によって見えてきた欲しい未来、
そういったものにつながる
生活・働き方を実現していくフェーズです。
この中でも何度もふれいている、
一つ目の
幾人も存在するはずの自分と出会い
受け入れること。
私たちには様々な自分というものがいて、
本当はそのすべてが自分であって
その出来に良いも悪いもないし、
上下も地位もない。
だから、その中で遠ざけたり、
無視したり、
忌み嫌っていたり、
いじめていたりする自分が
必死になって生き残りの反乱をしているのが、
今現在、あなたが抱えている悩みの本質だ、
だからそういった自分一人一人と出会い続けて
自分の一部として受け入れ
自分を統合するようにしてください、
そのために、自分を慈しんでください。
そう言っています。
悩みというものに対して
どこからどんな方法でアプローチするかは
最初にも書いた通り、
それこそカウンセリングや医療の在り方にも
よる部分があると思います。
いろいろ試してみろ。
そういう精神科医やカウンセラーも
存じ上げています。
それができる人は、それも一考かと思います。
実際、正解というものがあるとすれば、
それはよくなった
望む結果が得られた
ということにつきます。
しかし、そういった考えられうる
手法・アプローチの中で
最も根源的で、
それを体得することで、
“次”の行動や可能性が広がり、
信じる能力を育む力が大きくなる、
そんなものを提供することが望ましいことは
言うまでもありません。
そいういうわけで、私のところでは、
自分を受け入れられるようになる準備と
(自分を攻撃し、
自分を蔑む自分を理解してない人が多いので)
それに続く受け入れ方の体得のサポートを
一番最初に試みています。
そのアプローチは、
恢復の始まりである
信じる力を養い、
世の中とつながるきっかけを得、
自然なつながり方の流れに乗り、
自分とつながったことで見えてきた
大切な想いにつながる生活や働き方を
自ら求めていくための原動力にも
なります。
悩みは、
その根本原因を解決することが
何よりも大切であることは
万人が理解するでしょう。
実は、
解決するということは、
解決しないことである、
あるいは、
解決するということは、
解決するしないの捉え方から離れること
という
禅問答のような関係性にあることに気づく、
それを自分の皮膚感覚として
感じられるようになることこそが
本来の解決であって、
そこを皮切りに
一つ一つの事柄に対処していく段階では
既に悩みは悩みであると同時に
希望とか夢とかの源泉であるのみならず、
そこへ向けて動くための原動力にさえ
なっていて
そこまできたクライアントさんは皆、
のめりこむように自ら率先して
アプローチするようになります。
理屈はいろいろあるけれど、
そのうちの1つがいつの間にかできると
あとは学んだりする必要なくできるかも。
つまり、自分に対する信頼とか、
自分の望んだ行動を察知して動くとか、
そういうことが申し上げたかった。
自分を捨てて、
自分を受け入れるんです。
ー今回の表紙画像ー
『夕刻の地下道』
暗い地下道をとぼとぼ歩いて、階段を上がると
空が見えて、
町に出たら晴れ間が見えた。
そんなことがあるから、うつむいてばかりいないで、歩こう。
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