何かの裏返しとしての完璧主義

日々の棚卸

 

ここにパズルのピースがあります。

 

完成した絵を示した箱が横に置いてあって、

0万ピースほどの

ちょっとした大作のジグソーパズルです。

 

大好きなヨーロッパのお城と

背後にそびえる山脈が描かれていて、

 

Aさんは、

早く作り上げてみたいと

プチワクワクを感じています。

 

平日は仕事、週末も予定が詰まって

なかなか先へ進められそうも

ありませんが、

 

少しでも早く完成した絵を見たいと

試行錯誤を重ねつつ、

毎晩ピースをつなぎ合わせます。

 

Aさんは、どれだけ調子が良くても、

平日は、

 

50ピースつなげるか、

1時間したら、

その日は終了と決めていました。

 

睡眠時間を確保するためです。

 

しかし、興がのったり、

どうしても見たい部分の風景に

差し掛かっている時は、

 

つい、予定のピース数を上回ったり、

時間をオーバーしたりしながら、

ピースを探してはつなぎ合わせ、

 

気がつくと時計の針が

とんでもない時刻を指していたり

することもあります。

 

そんな日の翌朝は眠い目をこすって

会社に行ったり、

その日のイベントをこなします。

 

もうちょっと早く眠りについておけば

寝不足で披露することもないのに、

と軽い後悔をしつつも、

 

出来上がりつつあるパズルを横目に、

完璧に仕上がった形を妄想し、

 

今夜はどう作り込んでいこうか、などと、

にんまり感も感じています。

 

 

Bさんは担当者として、

発表用の資料を作ることになりました。

 

Bさんは中堅どころで、

グレード(階級)は係長手前といったところ。

 

資料の作り方は様々です。

 

最初にチームメンバーで、

発表の聴講者の顔ぶれと目的を念頭に置き、

チェックする時間と完成納期を確認します。

 

続いて、

 

あらすじと目次/章立てを検討し

アウトラインを固めた後、

各章の概略を描きます。

 

そして、

 

レイアウト、吹き出しと、

キャッチ―なコピーひねりながら、

スクリプトを構想します。

 

この後も、

 

メンバーと相談しながら、

後は個人の作り込みだ、というところまで

固めました。

 

ここからは、

基本Bさん個人にバトンが渡り、

資料作りの詳細に入ります。

 

さて、

 

予定のチェック日がおとずれましたが、

蓋を開けてみると、Bさんは

十分な形の資料ができてきませんでした。

 

というより、

予定より大幅に進捗が遅いのです。

 

例えば、

 

先週は第2章をやったから

今週は第4章までのレイアウトを作成して

皆で確認しよう、

 

というスケジュールに対して、

 

なぜかできてくるのは第3章のしかも

最初の方だけ。

 

資料のボリューム感や目的からして

かなり余裕を持ったスケジュールでしたが、

どうにも周囲が考える進捗が見られない。

 

結局別の人が第4章までを作ることになり、

Bさんはその先の5章と6章を

作ることになったのですが、

 

やっぱり同じ結果になってしまいました。

 

さすがにおかしいなと感じた同僚が

一緒に作成を手伝うことになり、

わかったのは、

 

Bさんは1枚1枚について、

 

微に入り細にうがった言葉の端々の

表現に至るまでの異様にこだわって

作り込もうとして頓挫していることでした。

 

しかも、書いては消し書いては消しを

繰り返し、いつまでたっても先へ進まない。

 

指摘の上、代替案を示し、あまり気負わず

リラックスして先へ進めようと言うと

「馬鹿にしているのか」と逆切れする始末。

 

これには同僚もさすがに閉口して、

上司に相談して、チーム全体が介入する

羽目になりました。

 

問いただしてみると、

聴講者にかつての上司がいて、

こっぴどく怒鳴られ続けて鬱になった過去から

クレームが入るのを恐れていたとのこと。

 

だから逆切れしていい、という理屈は

成り立ちませんが、それはさておき、

 

当人曰く、

「自分はどこか完璧主義のところがある」

とのこと。

 

実際には、

完璧なのは細部に対するこだわりであって、

全体の把握はできていないようです。

 

何より、

 

感情という見えないものに対して、

制御しようとする完璧さを追求しては

失敗しているようでした。

 

日常のBさんは、報告内容、指示内容などが

きわめて細かく、

その一方で全貌がぼやけています。

 

さらには、話をしている途中で

全体が見えなくなると言葉が止まって

フリーズしてしまうという状態。

 

産業医面談などを通してわかったのは、

生い立ち(家庭環境)で身についた

性癖のあらわれだったということです。

 

 

完璧主義がプラスにならないことは

言葉の上だけであれば

多くの人が知っています。

 

ここでいう完璧主義とは何かというと、

 

自分で課したノルマを何が何でも

達成すること、

 

ではありません。

 

人の意見や見方など、

100点の答えがあるはずもないところに

(勝手に)フォーカスして100点を目指し、

 

それを誰からもグウの音が出ないほどに

仕上げることに全力を出し、

当然ながら達成できないまま、

 

最後は燃え尽きて、

しかも周囲の声も助けにならない、

そんな状態を指します。

 

完璧主義は、

実は、完璧でも何でもないんです。

 

極論すれば、百害あって一利なし、の

典型ですね。

 

最初の例でパズルを組み立てていたAさんは

時々睡眠不足になって翌日も影響を被りながら

どこかで楽しみながら日々を過ごしています。

 

100点などないことはわかっているし、

自分の限界も見えている。

ただ、楽しみの故に時々それをオーバーする。

 

一方Bさんは、

 

その生い立ちの故に身に着けた性癖により

人により見方が異なる結果の細部に

異様にこだわりを見せ、

 

最後は、

助けてくれているはずの周囲にまで

切れてしまう。

 

Bさんに必要なのは、

 

その現実を自らしっかり受け止めつつ、

その発想こそが自分の生きづらさと

周囲との軋轢を生んでいることに気づき、

 

自分を大切にするにはどうしたらいいかを

学ぶことですよね。

 

切れてフリーズする前に、

細部への異様なこだわりの源泉を

“感じ取り”、

 

自分を大切にする上で必要のない感覚を

手放すことを繰り返し行うこと。

 

そう考えると、目の前にある問題・悩みには

常にその人にとっての解決のヒントが

含まれているのかもしれませんね。

 

かつて、平安の祈りを紹介した際、

その淵源は獄中で死亡した神官の、

次の言葉だと申し上げた記憶があります。

 

「よろこびが神の摂理であるならば、

苦しみもまた神の思し召しである」

 

なんか固いので、

こう言い換えてみました。

 

あなたの前に生じる“お困りごと”は、

あなたらしく生きるためのヒントである。

 

いまいちだな。

 

ではでは。

 

 

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ー今回の表紙画像ー

『真夏の川』

暑い…。水辺に行って、涼を目から感じたい。誰か遊んでくれる人がいるかもしれないし。

そう思って、近所の川に行ったけど、人っ子一人いない。。。

川の流れは涼しげで、岸辺のコンクリートには近隣の田畑に供給されている水がしみ出してきている。

その水を飲みに、アゲハチョウもご来場。