1.今を生きることができない?
過去に生きるな。
今が大切。
未来を憂うな。
今に生きよ。
今を生きることは、
納得する人生を生き生きと生きることと
コインの裏表の関係にあると思います。
そうは言っても、
なかなかできるとは限らないのもまた事実。
怒りや哀しみや何かの感情に囚われて
これができない人は、
しっかりと過去を振り返ってみることで
何かが変化するかもしれません。
実際のところ、どうなんでしょう。
2.今を生きることができない!
好きかどうか、
やりがいがあるかどうかは別として、
今目の前のことに没頭し、
それに特に疑問も抱いていない方は、
どれくらいいるでしょうか。
現実には、
・どうにも今に集中できない
・こんなことをしていいのだろうか
・正体不明の胸騒ぎ
・同じく正体不明の心の重石
そういったものに取り囲まれ、
自分の内側を占拠されて久しい人がいます。
私もそうでした。
その源には、
これまで培ってきた過去があることは
間違いありません。
過去が未来を創ると考えれば、
過去と未来は1セットですが、
過去は起こった事実。
変えようがないことだからです。
…確かに、事実ではあるのですが、
私たちが過去と言うとき、
それは過去そのものと言うよりも
記憶であって、
100%正しく記憶していたとしても、
やっぱりその時の都合(=メンタルの状態)で
取り出し方、
取り出す場所、
取り出す感覚によって、
自分に与える影響は天と地ほども違ってきます。
そして、今の自分を構成している
様々な過去の意識的無意識的な囚われ方こそが、
身も心も動けなくなってしている
状態の理由だと思います。
3.今を生きるにしても…
今を生きると言っても、
今は過去の集積の上に成り立っています。
ずっと惨めで悲惨で苦痛ばかりで
楽しいことが何もなくて
将来もよいことが何も感じられず、
いつも死にたいとばかり
考えている人に向かって、
今を生きよというのは、
あまりに酷なこと。
それほどに、
過去は今を生きる上でとても大切。
この自覚、自分は過去の影響を受けて、
今苦しいのだということが
皮膚感覚で理解できるでしょうか。
過去に引きずられていることを自覚したら、
その見方に固執していることが、
自分を虐めていることをわかってほしいのです。
過去はそれ自体否定しても仕方がない。
ただ、ありがちなことは、
耐えうる限度を超えた
哀しい出来事や怒りに震える出来事、
ショック、苦しさ、
それらに伴う無力感、絶望、あきらめ、
そういった感情に心も体も覆われてしまうが故に、
その時々にあった楽しさや歓びの感動までを
否定してしまうことです。
これは、道徳的、倫理的、
などというお堅いことは置いておいたとして、
とても、本当にとっても、損です。
この(無意識の)受け止め方は、
私たちの人生にとって損以外の
何物でもありません。
4.今を生きるためにできること
過去はとんでもないことばかりだった、
でも今は
楽しかったり幸せだったりすることがあるから
それでいい、
と言い切れる人はそれでいいと思います。
でも、おそらくそうではないからこそ、
ここまで読み進めてこられたのですよね。
あなたを苦しめる過去がどのようなものか、
今にどのような影響を与えているのかは
それこそ過去の数だけあると思います。
ただ、一つだけ言えることは、
ここまで生きてきたあなたと言う存在に対して、
特定の過去がもたらした悲しみや苦しさ、
惨めさなどのために、
“善き想い”
まで否定しないでほしいということです。
両親から受けたこと、
学校の先生やクラスメートからされたこと、
兄弟や親類から受けた傷、
社会の仕組みの中で爪はじきにされた疎外感など、
あなたにもたらされた
哀しい思いの源泉には、
そういった多くのシーンがあると思います。
一方で、その同じ時期、
何かを購入し、
何かの音楽や物語に救いを求め、
特定の誰かを好きになり、
一緒に街を歩き、
自由を夢見、
どこかにたどり着くことを夢想していた自分も
またいると思うのです。
軋轢やストレスや怒りや絶望に苛まれながらも、
どうにか生きていて、
時には胸が躍ったり、
クスリと笑ったり、
これだけは守ると誓ったり、
自分の味方をして誰かに腹を立てたり、
そういった何かがあったはずだと思うのです。
不思議ですよね。
悪いことが起こっても、
良いことがあると、
それでOKとなることは少なくて、
良いことがあっても、
悪いことが起こると、
良きことまで否定されたり、
忘却されたりしてしまうなんて。
人生を苦しんでいる人の特徴です。
そのあり方こそが、
今の生きづらさを生み出しています。
そうなってしまうことを
批判する必要は全くありません。
それもまた、
なるべくしてなっているのだから。
そういった見方受け止め方によって、
守られてきた部分もあるのだから。
そして今、その守りによって魂が窒息しかけている。。。
最初はささやかなことで構いません。
この世に生まれてたどってきた人生の中で、
あなたがあなたとして
当たり前に存在していた頃の感覚を
取り戻してほしい。
最初は胡散臭かったり、
終わったことだからとあきらめていたり、
効果なんてないと
そっぽを向きたくなるかもしれません。
しかし、繰り返すうちに、
心と体に勇気が湧いてきます。
当たり前ですよね。
遠ざけていた大切な自分自身を
よみがえらせようとするのだから。
どんな時に楽しい、嬉しいと感じたでしょう?
それは自分とどんな関係の時?
世の中と、他者とどんな関係の時?
幼い頃、子供の頃、学生の頃、
きっと暗く哀しいばかりと思っていた時間の狭間に
見落としている、
体に宿り、埋もれている感覚がありますよ。
ー今回の表紙画像ー
『夕景~買い物先の駐車場より』
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