自分を大切にするということ

日々の棚卸

 

使い古され、

言い尽くされているようにさえ思える、

自分を大切にするということ。

 

その昔、これはいったい

具体的にどうしたらよいんだろう。

とても真剣に&悶々と

悩んでいた時期がありました。

 

意識しながら、

経験を積んで、

心と体のことを理解して、

少しずつではありますが、

自分を大切にすることとはどういうことかを

理解し、

実践できるようになったかなと思います。

 

自分をいじめない。

職場や知人が何かの理由で攻撃してきたとして、

間違ってもそこに加担して、

自分はなんてダメな奴なんだ、

と貶めない。

 

自分を守る。

仕事に忙殺されていても、

自分の心と体に休息を与え、

同時に自分の大切な家族や友人に

悪影響が及ばないようにする。

 

自分を慈しむ。

一見惨めに感じたり、

気が小さかったり、

すぐイライラしたり、

怒りっぽかったり、

落ち込みやすかったり、

いつもうじうじとしがちだったり、

そんな自分を受け入れて、

自分の一部として大切に感じる。

 

自分を尊ぶ。

ともすれば目をそらしたくなるような過去、

孤独に苛まれた時間、

ついやってしまったひどい仕打ち、

そういった目をそらしてしまいたくなる

人生の様々なポイントでの自分を

自分だからこそ理由もわかっているのだから、

遠ざけることなく理解してあげる。

 

上の慈しむことと少し重なりますね。

 

そして今感じること。

 

まず、自分を大切にすることが

自分にとって何を意味するのか、

わかるのに時間がかかったということ。

 

特に、行動を積み重ねる中で

体得するように理解してきました。

 

もう一つは、

意外にこの自分を大切にすることが

出来ている人は

少ないような気がするということ。

 

自分を大切にしようとして、

頭で分かりながら、

同じ頭で出来ない理由も

次から次へと湧いてきて、

その理由に納得してしまって?

行動を起こさなかったり、

中途半端になってしまったり。

 

自分の心身が安全ではないところに

身をおかないようにとわかっていても、

怒鳴る上司も仕事だから、

きっと彼・彼女は優しくなるから、

とその場に居続けたり。

 

直感的な見通し、

虫の知らせを信じず、

論理で判断する。

 

論理は自分の判断基準で作られているから、

これまでと同じ結果しか出てこないことは

分かるはずなんだけど。

 

死ぬ気で頑張る、という言葉があります。

 

あまり好きではない言葉だけど、

ちょっと賭けてみる、

と言い換えると別の意味が感じられるんです。

私には。

 

生き方を変える、

自分を変える、

ってそういうことじゃないかなと思ったり。

 

大仰にとらえる必要はなくて、

毎日している選択を

直感に従うようにすること。

 

嫌なものは嫌と、

まずしっかり認識すること。

 

大胆に実行すること。

大きな影響まで被る行動をとること。

 

これまでで一番行き詰ったこと。

一番つらく哀しく憤りを感じたのは、

親からのヘルプコールでした。

 

ヘルプの内容は

親としてあり得ないことだったと思います。

 

裏返せば、

その要請に応えるには、

あまりに世界が崩れすぎていて、

力が削がれすぎていて、

それでも自分を保つことに必死でした。

 

人から見たら

自己憐憫とも

甘ったれとも

子供とも

言われたけれど、

季節も行事も関係なく、

街を彷徨い、

外国をふらつき、

運動して体調を整え、

親とは一切会うことなく、

彼らの人生を彼らに返すべく

ひたすら自分の生活だけに集中したのは

もう30年も昔のことです。

 

今、その当時の風景と空気とが

体内に根付いていることを感じます。

 

大切な両親、

でも同時に

自分が空っぽのままでは、

彼らの暗闇に飲みこまれてしまう、

そう察知した無意識がとらせた行動だったことは

間違いありません。

 

ずっと後になって、

そのことに対する罪悪感を相談したら、

当時の医者が、

それは逃げたんじゃなくて、

対処したんだよ、と

言ってくれて

泣けてきたことを思い出します。

 

自分を大切にする話は、

日常のささやかなことから、

人生を変える大きな選択まであるけれど、

半世紀の人生を生きてきて、

たった一つだけ言えるのは、

自分を大切にし、

自分を守ることができる人だけが、

大切な存在をも大切にし、

守ることができるということ。

 

同時に、

あの頃の必死だった自分が

とても意地らしく、懐かしく思い出されます。

今も自分を支える大切な一部です。

 

ー今回の表紙画像ー

『ふるさとの川の夕暮れ』