サザエさん症候群という
よく知られた症状があります。
え?
聞いたことない?
とても有名だけど、
そもそもサザエさんなんて見ない、
知らないという方も増えているのかな。
サザエさん症候群とは、
日曜の夕方に放送されている
サザエさんを見終わると、
よく月曜から始まる学校や会社が
具体的に想起されてブルーになる、
という症状です。
よほど充実した日々を送っていなければ、
多くの方が多少は感じる
気分かもしれません。
翌日から始まる時間と自由の束縛が、
ちょっとした憂鬱をもたらすのですね。
そうは言っても人生は、まあこんなもんかな
と思えれば、取り立てて騒ぐ必要も
ないのかもしれません。
友人とお酒を飲んで気を紛らわしたり、
おいしいものを堪能したり、
たっぷり睡眠をとったり、
下着姿で横になってテレビを見たり、
趣味に没頭したり、
ドライブに出かけてみたり、
…………。
でも、なぜか、いつの頃からか、
そんなことをしても
気が晴れなくなってしまったり、
それ以前に、
ようやく休むことができる、という
感覚さえ覚えなくなるどころか、
蓄積した疲労や
抱えきれそうもない葛藤や
耐えるのが辛い叱責を
休息日を使って癒したり、
気晴らしをしたり、
自分を立て直して備えようという
気持ちにすらならなくなっている
自分に気づくことがあります。
待ち遠しいはずの休息日が
なぜか待ち遠しくなくなっている、
いえ、
休息できなくなっている、
そんなことがあります。
★
ミレニアムの頃だから
四半世紀近く前になりますが、
Do As Infinityのアルバム
『Break of Dawn』に
Painfulという曲があります。
1番の歌詞の最初は、
また同じ月曜日の朝、
ゆらりゆられて着く先は闇で、
いつになったらこの曇り空、
夏休みのあの空に戻るのか
とあり、
2番では、
またやってきたんだ金曜日の夜、
知らず知らずのうちに行く街が
いつの日からか乾いたトコに
空しさだけを連れてくるようになった
となります。
そして、
帰り着いた部屋も闇で、
かつて追いかけていたけれど
忘れかけていて錆びついていた
ギターをもう一度手に取った、
とうたっています。
★
休息日が待ち遠しくなくなっている理由は
人それぞれあると思います。
居場所を感じる場所がないからだったり、
仕事や取り巻きに感じる疎外感だったり、
過去の清算ができていないからだったり、
という感じで、あなた自身が
(少なくとも無意識的には)わかっている
と思います。
一つ言えることは、
休息日は何と何と何をしようと
感じることができる、ということは、
休息日ではない日々を
生き生きと生きているか、
投げやりになっているか、
感覚を麻痺させているか、
の、
どれかになっているのではないか、
ということ。
人生を投げやりにしたり、
辛さを感じないように感覚を麻痺させて
生きていることを続けていると、
休息日が待ち遠しくならなくなります。
それは、
休息して回復することを望まなくなる
からです。
なぜなら、
今の生活で休息日に回復しても
また同じ苦しいだけの日々の繰り返しで
そんな時間の連続はもうたくさんだ、
と感じるようになっているから。
それをはっきりと意識する人もいれば、
よくわからないけれど休息日が近づいても、
心がホッとしたり、穏やかになったりしない、
という“症状”として出ることもあります。
繰り返しになりますが、
そんな“症状”が、
今の仕事や就労条件と合わないから
生じるにしても、
もっと根源的な生い立ちに基づくにしても
自分にとっての新しい現実を生むために
動き出す時になったというメッセージだと
考えることができます。
人は無駄なことはしません。
何某かのメタファを含んでいるものです。
それが例え、
原因不明の熱であっても、
膝や腰や足や歯や頭が痛むことであっても、
そこには何某かのメッセージが
含まれています。
医者に行けば、
熱が出ていれば
ウイルスだからと解熱剤をもらって
安静にしてください、となったり、
身体に痛む場所があれば、
年齢やそれらしき行動を原因にして
養生してください、となる…
一過性のものならそうかもしれません。
ただ、繰り返しそういった症状が出るなら、
今の自分の在り方そのものを見直すことが
問いかけられているのかもしれません。
無視して今を続けるのも選択の一つですが、
永く続けるうちに“それ”が常態の
生活となります。
ところで、思うのですが、
そういう暮らし、生き方、仕事の在り方、
飽きてきませんか?
ー今回の表紙画像ー
『葉桜の日』
夕陽に照らされた花弁がきれいでしたが、
葉桜になってきていましたね。
今年も見納めかな。
今は亡き、作家の鷺沢恵さんの小説に、
『葉桜の日』という作品があるのですが、
散歩で訪れた夕暮れの公園で写真を撮りながら、
懐かしく思いだしました。
生きずらさ、行き詰まっている若者たちの
内面を見事に描写する彼女の作品に
随分入れ込んでいた時期がありました。
また買って読もうっと。
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