好きでない仕事を一生懸命にやるべきか?

日々の棚卸

 

好きなことをやる。

それが成功への秘訣だ。

今はよく聞かれるようになった言葉。

その通りだとは思います。

 

一方で、

今この瞬間に、

好きなことをやることは、

多くの人にとって、

難しい状況かもしれません。

例えば、

好きなことが全くない人、

趣味では持っているけれど、

好きでないことに日常の時間の

大半を割くしかない人、

好きを感じる余裕がない人、

そもそも本音での好きがわからない人。

そんな人がとても多いと思います。

 

典型的な例は、

好きでもないことを仕事にして働いていて、

日々、生きづらいと言っていること。

純粋に、仕事が好きではないのか、

仕事の一部にどうしても

好きではないことがあるのか、

実は仕事そのものよりも

そこに絡まざるを得ない

人間関係に苦しんでいるのか。

 

××歳になったら、好きなことだけしよう。

△△の状況になったら、好きな世界に入ろう。

〇〇は関係なく、嫌なことはやめてしまおう。

 

原家族の問題もあって、仕事と人生に

行き詰っていた頃、

私はこんな考えに凝り固まっていました。

いつか、その時が訪れるのを待って、

行動を起こそう、と。

 

それに対して、

いやいや、そうじゃないですよ、

嫌なことはさっさとやめて、

好きなことだけできる人は、

やってしまいましょう。

年齢や環境の問題なんかではないですよ。

そう言われたりします。

 

確かに、それが一番いい。

その通り。

 

…繰り返しになりますが、残念ながら、

私はすぐにそうできなかった口です。

 

だから、そうやって

好きなことだけに邁進したと述べている方々の

実現プロセスを丹念に辿ってみました。

 

そして気づいたこと。

 

彼ら・彼女らは、例外なく、

次の状況を超えて、

その恩恵を受けているということです。

それは何か。

 

好きでないこと。

苦痛なこと。

嫌な関係の中にいること。

自分の望む世界の実現に向けて

日々模索しながらも、

そういった望まない状況に

居続けざるを得ない時期があって、

そこで二つのことを真剣に学び、

それをある時、

自分の好きな世界に飛び込んだ後で、

利用することができているということです。

 

2つのこと。

 

1つは、技を身に着けること。

好きなことをしていれば、

できないことは誰かが助けてくれる

と言う方がいます。

これはちょっと考えればわかりますが、

そこまで期待できるわけではありません。

というより、そこに行きつくまでに、

どうしてもタイムラグがある。

そんなとき、

やっぱり、できるに越したことがない

ものは少なくないはずです。

もちろん、何をするかにもよります。

事務職でパワーポイントやエクセルを

使うことがどうにも身につかない人が、

上司から文句を言われながらも、

何とかそれを受け流し、

できる範囲でコツコツと身に着けたら、

セミナー講師になった後で、

その技が有効に生きるようになった

ということはあるはずです。

この、

周囲の冷たい視線を受け流すこと、

コツコツと心がやられない範囲で続けること、

変化を模索する日々の中で

続けられるなら続けた方がいい。

逆に、どうしても無理というなら、

自分を責めたり屈辱的な扱いを受ける前に、

誰かに頼むなり白旗を上げる。

そうやって何とか日々の仕事をやりくりして、

それらが好きなことにまい進している、

と述べている間の

実際の彼らを助けていたりしている。

 

つまり、

そうやってできる範囲で、

諸々のことを身に着け、

乗り越え、

もうこれ以上は絶対に無理だ、

と本能レベルで察知したところで、

自殺とか引きこもりに向かわず、

もう自分の好きなことに注力しよう、

となって飛び出ていく、という流れで、

今があるように思えます。

 

そして、もう1つ。

好きでもない世界で生きている人が、

いきなり、自分の好きな世界に

飛び込もうとしたところで、

よく言われるように、

何が好きなことかもわからなかったり、

好きの基準や感性が磨かれてなかったりで、

進む先さえ曖昧な状況にあることが

普通だと思います。

そんな状態で、好きな世界に飛び込め、

と言われても、怖いのは当たりまえ。

 

まずは、この状況下で好きなことを

真摯にアンテナを張っていると、

具体的にこれだと見つからなくても、

察知する能力が身に付きます。

それは、次の世界に行った後に、

今度はこれをやろう、

その後はあれをしよう、

という、次のステップに進む能力を

身に着けることにもなります。

 

好きなことだけやっていればいい、

という言葉に

あまり惑わされないように。

好きなことを探し、感じ、見つけ、

そして試してみましょう。

その間、やっぱり

好きでもないことをせざるを得ない

そんな環境にあるのであれば、

今できることを

心がやられない範囲で、

懸命にやってみてください。

目いっぱいやってみてください。

好きを探す活動のエネルギーは

取っておく程度に。

ここから先はもう絶対に嫌だ、

どこかにいくしかない、というところまで。

 

少なくとも、

そこから出ていく時、

自分のできる範囲で、

精一杯やった、

もうあれ以上は無理だった、

あのまま続けたら、心身がやられていた、

というところまでやると、

誰が何と言おうと、

自分の中で納得して前に進めます。

 

後ろ髪をひかれないというのは

活動をするときにとても大切なことだと

思います。

 

ー今回の表紙画像ー

『西湘海岸』

風が強くて寒くて海は大荒れだったけれど、風景はきれいでしたね。