眠りを大切に

日々の棚卸

2回連続で眠りについての話です。

時間がないというのは

基本的に言い訳であることを明言した上で

言わせてもらえば、眠る時間が短いです。

私に会われる方には

そうは見えないようですが。

好きなことをすればいいとは、

今のご時世あちこちで言われることですが、

やりたいことがたくさんあって、

眠る時間が不足している。。。

眠る快楽も好きなのですが。

 

抑うつに苛まれていた頃、

起き上がること自体が

とてもつらい時期がありました。

体が布団から離れようとしないんですね。

経験された方もおられるかと思います。

 

眠くて仕方がない、

とか、

かったるい、

とかではなくて、

本当に起き上がることができない。

体が動かないのだけど、

別にどこか痛めているわけではなくて

とにかく意志というか気持ちというか

体と心がばらばらになっていて、

全く言うことを聞かない。

実際には、ばらばらなんてことはなくて、

心もホントは体に向けて起き上がれ、

なんて言ってはいなくて、

惰性というかそうしなきゃと思い込んだ

自分の表層意識の指示を

体が受け付けない、

そんな状態です。

当時は20代で、

サラリーマンをして、

毎日運動もしていて、

毎晩お酒も飲んだりして、

そんな生活は他の方には推奨はしませんが、

少なくとも体力的な問題なんかではなく、

純粋にメンタルに起因したものでした。

 

積もり積もった心の歪みが

不信で意識を覆いつくし、

その感覚を世の中に向けていたのだから、

そんなところに起き上がって

体が出ていこうとするのを

心が拒否っていたとしても不思議は

なかったと思います。

 

鬱や引きこもりの方の中には

昏々と眠り続ける人がいます。

それをして、現実逃避だという人もいます。

そういう可能性があることは否定しません。

ただ、人は必要のないことはしない以上、

そうすることはそうする人にとって

意味があるでしょうし、

弱った心の影響で落ちがちな

体力を温存するという意味では

可能性どころか、

必要性を示していると思います。

 

平均睡眠時間が世界でも短い6.4時間という

私たち日本人ですが、

本来、大人が必要とするのは

平均して7時間半以上だといわれています。

風邪や疼痛や症候群など、

原因の特定が難しい症状に対して、

投薬したり、

サプリメントを摂取したり、

栄養不足を補うべく飲食に力を入れたり、

そんな傾向が世の中にはありますが、

同時に必要な、

あるいはそれらよりずっと必要な、

眠りの重要性が語られていません。

眠ることは、

意識を失う、ではなく、

意識の世界から

無意識の世界にシフトすることです。

眠りは、

私たちが、ともすれば

日々、混乱と不安に溺れかける意識を

まとめ上げ、

整理し、

落ち着かせることで、

心身の不調となっていた症状をも

おさめてくれます。

抑うつへの対処のみならず

痛めた心身を休めることで

治療する効果があることは

私自身、身をもって実感したし

意識と無意識の関係を考えれば

別段不思議な話ではないと思います。

 

だから、状況が許されるのなら、

恐れとか、批判とかを脇に置いて

罪悪感にとらわれないようにして

ゆっくりと眠ればいいと思います。

日々の些事に、

消耗しきった心で対応したところで

不信と不実が募るばかりで、

自分を振り返る余力も湧かないでしょう。

だから、ひとまず眠るのがいい。

若い頃の私がそうしなかったのは、

環境的に許されなかった、と思い込む程に

不信が全体に広がっていたからで、

昏々と眠り続けることで

世の中に自分の居場所がなくなるという

間違った思い込みの末のことでした。

結果として、

どこまで追い込まれたら危険な状態になるか

限界点がわかったことで

線引きができたという意味では

眠らない日々を過ごしたというそのプロセスは

無駄ではなかったとは思っています。

ですが、眠れる人は眠った方がいい。

 

私はかつて、

右足のくるぶしを骨折したことがあって、

しばらくの間、

松葉杖をついていた時期がありましたが、

本当に外出が必要な時以外は

家にいる羽目になって、

行動がずいぶん制限されました。

きっとこれをご覧の方の中には、

身動きできないほどの大けがをされた

そんな経験をお持ちの方もあるでしょう。

そんな時、

回復のためにまず最初にできることは

眠ることです。

心だって全く同じ。

鬱をはじめとする心の問題が

肉体のケガと異なるのは、

本来生活を調整する思考と感情が

ダメージを受けてしまい、

その結果、ついつい寝たきりになって

しまいがちなことです。

 

眠りを大切にしましょう。

大切にするとは、

たくさん眠れ、

長い時間眠れ、

という意味ではありません。

眠ると、目覚めがあります。

すぐ起き上がれるかは別として、

意識が戻って目が覚めますよね。

目が覚めた時、

おそらく眠る前に自分を追い込んだ出来事は

消えてはいないでしょう。

でも、

心と体には余力が戻っているはずです。

その時、

ほんの少しでいいから動いてみるのです。

『気持ちよくなる前にやってみる』↓

https://nakatanihidetaka.com/try_first/

でも似たようなことを書きましたが、

完全に恢復したら、

完全に自信がついたら、

完全に気持ちよくなったら、

という状況はあり得ません。

試しでいいから、やってみるのです。

対処を試みるのです。

うまくいかなかったら、

また眠って心と体を休め、

ほんの少し力を取り戻す。

そしてまた試してみる。

その繰り返しの中に少しずつ、

追い込まれていたはずの視界の中に、

道が見えてきます。

そのためにもしっかりと眠りましょう。

 

自分が自分であるために、

かけがえのない自分を生きるために、

しっかりと眠ることは基本です。

必要な時間だけ、

心と体を休め

意識を休める。

不足すれば、その混乱が日常に紛れ込み、

心が乱れ、

感情が乱れ、

体のリズムが乱れ、

徐々に自分が解体されてしまいます。

 

人によって必要な睡眠時間は異なるそうです。

ここでも、

何時間寝ればいい、

とは言えません。

ただ、日常を生きる上で、

あるいは弱った自分を労り、恢復する上で、

暴走しそうな自分を律する上で、

自分を受け入れることとともに、

眠りは、

何にも増して大切なことです。

 

自分を受け入れることは

寝ながらだってできます。

眠りが普段それとなく考える以上に

心身を休める効用があることを自覚し、

その時々の状態に合わせて、

眠りを大切にし、

しかも、

眠りすぎないようにし、

ほんの少しでいいので、

日々繰り返し、

眠り以外の恢復の処方を並行して

試し続けてください。

その人ごとに、

この適正なバランスを見出すことが

できるといい。

 

とにかく、

心が疲れて仕方がなかったら、

まず、ゆっくり眠る、です。

 

ー今回の表紙画像ー

『ユリ? 朝の散歩より』 あまり見ない色だな。なんていうのかな。