昨年1年、お疲れ様でした。
良い1年だったでしょうか。
手放しで喜べないにしても、
今年はまあこんなところか、
と言えるならいいですね。
目標を達成することができたり、
改善の兆候が感じられたり、
そこまでいかなくても、
何か試してみようという気になったり、
といったことがあったなら、
来年につなげたいですね。
もちろん、なかには、
いやいや、とんでもなかったよ、
という方もいらっしゃるでしょうか。
いえ、そんな言い方ができるなら
まだましな方で、
言葉に抑揚を加えて語ることさえ、
躊躇われるような状態が
ずっと続いた方もいらっしゃるでしょう。
いろいろ試してみたんだけれど、
切り離した自分と出会って
受け入れようとしてみたんだけれど、
日常は何も変わらなくて、
嫌なことや苦痛ばかりが続いた、
という話もありました。
でも、何はともあれ、あなたは今生きている。
生きていて、
何とか2024年を迎えている。
おそらくは最も大切なそのことについて、
まず、それはよかった、と、
お伝えしたいと思います。
★
新年早々こんな話もなんですが、
精神医療‐臨床心理の手法に
逆説的介入アプローチという
手法があります。
逆説的介入アプローチは、PIA
(Paradoxical Intervention Approach)
と呼びます。
クライアントの主訴に対して、
正面からあたるのではなく、
その問題が必要な理由を検討するのです。
引きこもる方を例にとりましょう。
以前は、引きこもる理由を
本人に問いただしたり、
無理やり引きこもる部屋から連れ出したり、
と言ったことが行われていましたが、
ある頃から、これを、
家族システムとして解釈することが
行われるようになりました。
つまり、引きこもる方からすれば、
外に出ても辛いことがあるだけだから、
家にいるということが理由なのですが、
実はそういう症状、状況を
(無意識に)引き起こしてでも
そうしたい理由があるという解釈です。
例えば、引きこもる方がいる家では、
焦点がその方にあてられている間、
冷え切った夫婦関係や
成績が伸び悩んで鬱屈している兄弟から
視線を逸らすことができ、
引きこもる方に原因を押し付けつつ、
家族としての一体感を保つ役割を
つとめているわけです。
このように引きこもっている方を、
ある精神科医は
『座敷童』と呼びました。
そして、相談に来られた母親に対して
「『座敷童』はありがたい家の守り神なのだから、
きちんと毎食ご飯を与えて敬いなさい」
と告げたと言っておられました。
そして、子供が引きこもる理由を
徐々に明らかにしつつ、
問題の本質にもう一度焦点を当てるよう
促していくのです。
つまり、家族という、構成員誰にとっても
大切な一つのシステムを維持するために、
引きこもる方が抱えていた問題を、
それぞれの場所に戻して向き合うように
していくわけです。
これがPIAです。
他にも、食べ吐き症状や依存症なども
同じ文脈で語ることができます。
一方、引きこもる当人にとってみれば、
そんなことを言われたところで、
では自分はどうしたらいい、となります。
これが今回のポイントです。
もう一つの逆説性でもあるのですが、
問題の原因を外部に求めるのではなく
あなたにとって何か必要があって、
その問題を起こすような状況にしている、
という解釈を行う必要があるのです。
人は、意味のない行動はとりません。
重要なことは、
『あなたにとって何か必要があって』
というところ。
嗜癖=依存症を例にすると
わかりやすいのですが、
アルコールや薬物にせよ、
借金やギャンブルにせよ、
恋愛やセックスにせよ、
それが日常生活に影響を与えるほど
大きな問題になるのであれば、
その問題がなぜ生じているのか、
その背景にある“あなたの”世界が
なぜそうさせているのか、
という解釈で
“あなた”を主語に問題を解釈していきます。
え?
自分は依存症とかではない?
そんな病人やおかしな人と一緒にするな?
いえいえ、
問題の本質なんてどれも
似たり寄ったりなんです。
私たち、この社会に暮らす一人ひとりの
価値観も感じ方も
どこかでつながっています。
あるところから突然、
風邪になるわけでもなければ、
鬱と言われるわけでもなく、
明確に依存症や心の病ではなくても、
連続性の中のある部分に位置付けられ、
そうなる前兆やその度合いというものが
何某かあるはずです。
そして、例えば、
働くたびに嫌な上司と巡り合う、
いつも低収入長時間の労働環境、
なぜか恋人になった途端に苦労ばかり、
周囲へのイライラが収まらない、
いつもお金がない、
人の目が気になってばかり、
などなどは
誰しもが味わいたくはないはずですが、
その実、いずれも、
あなたにとってその必要がある
現実になっているわけです。
繰り返しますが、
人は意味のないことは行いません。
そして、あなたの言動に沿って
現実も引き寄せられるわけです。
できることなら避けたい現実ですが、
その背後、つまり、
起こっている事象そのものではなく、
その奥に何かがあって、
すでに過ぎてしまったはずの“それ”を
何とかしたいと思って生きている、
当然、その状況が現れるように
行動するようになり、
現実となります。
引き寄せの法則なるものがあるとしたら、
それがメカニズムではないでしょうか。
★
ともかくも、
2023年はお疲れ様でした。
2024年が良い1年になるといいですね。
昨年は、
いろいろ大変だったかもしれません。
でも。良く生きてこられたんですよ、
あなたは。
ただ、あまりに悪いところばかり
見ているものだから、
クローズアップされた悪いところが
目につくような現実が起きています。
いつかも書きましたが、
楽しく生きるのもまた訓練なんです。
訓練といっても、
自分に沿って生きられるようにする、
世の中の基準に合わせ過ぎない、
つまりは、
自分らしく生きる、ということで、
決して過酷なものではないですけどね。
今よりもっと、
あなた自身に戻ること、
これにつきます。
本年もよろしくお願いします。
ー今回の表紙画像ー
『二年参り景』
雨上がりで気温が高く、人の出も例年より多かった。賑やかで良いけれど、周辺のおうちは、じゃらんじゃらんとなる鐘の音で眠れないのでは。
暮れの忙しい時に合間を縫って釣りに行ったら、60㎝のシーバスが釣れた。
こりゃ、正月は寿司と鍋だな。。。楽しみ。。。
最近のコメント