日々仕事で人と接しながら、
やりたくないことをして働いていると、
表情を作ったり、
もっともらしい意見を言ったり、
あたかもやる気があるように振る舞ったり、
正論を放ったり、
時には阿(おもね)ったり、
してしまう自分の行動が
気になってしまうことがあります。
実際、
(くだらないな…)
(つまらないな…)
(さっさと辞めたい…)
(嘘つきだ…)
と思い悩み、
今度はそれを、
自分の不誠実さと受け止め、
その苛立ちを自分以外の誰かや何かに
転嫁したりしながらも、
その矛盾にどこかで気づいていて、
徐々に自信を無くしていく、という
負のスパイラルに陥ります。
なんといいますか、その昔、
私にはそんな時期がありました。
自分というものを
完璧に理想の人間と比較していたり、
単一の人格で出来上がっている、
と受け止めていたりすると、
そこに自分の生き方への不満や
やりがいを見出せない展望のなさや
ある種の甘えも加わって、
どうしても『至らない自分』というものを
許せなくなってしまうからです。
当時の自分の内側を正直に見れば、
先に述べたように、
自信を無くしていて、
一言で言って元気がありませんでした。
元気がない、というのは、
静かである、ということではなくて、
意志とか欲求が埋もれてしまった状態の
ある種のロボットのような状態だった
と言えばいいでしょうか。
笑っても、怒っても、考えていても、
それらの表現はどこか
本来自分がもっとしたいこと、
するべきことを偽ってやっている、
故にロボット的にならざるを得ない、
ということです。
理由はいろいろあったでしょうが、
少なくとも
幸福や充実を感じていなかったのです。
さらに掘り下げると、
自分の自分に対する
蔑んだ見方、接し方があって、
その奥にはそれらを形作ってしまう、
自分に優しくない歪んだ感性があって、
となるわけです。
当時の状況 - 原家族離散や父の自死 -
を考えれば、よくもまあ、
この程度で済んだものだ、とも
言えなくはありませんが。
これらのことは、
「こうだから、こうなって、結果こうなるのね」
という感じで、頭の中で
“知っている”方は、
理屈としては“知って”はいるわけですが、
それだけで解決に至ることがないのは、
心と感情と経験の世界に働きかけて
いくことができないからだ
ということは分かると思います。
無理して一生懸命働いて、
無理して皆と笑いあって、
その無理がたたった反動もあって、
ほんとはどうでもいいことで怒りまくって、
でも、
決して自分を誤魔化してるわけじゃなくて、
やっぱり、ほんとは元気なかった。
そんなことがわかってきたとき、
理解が必要なことは、
知識よりも、
そう感じている自分の感覚・感情の方で、
その見つめるべき肝心の感情の方に
蓋をするために
別の感情を湧き上がらせていた
というわけです。
本来見つめるべき感情と
じっくり真正面から取り組むことは、
原家族のことにしても、
肉親の自死のことにしても、
それらが起こった直後に味わう羽目になり、
何とか乗り越えた、
心身が引き裂かれるような
耐えがたい淋しさの感情と
もう一度向き合うことになるからです。
無意識的に、それを避けていたのでしょう。
そのメカニズムを感覚的に理解すると、
それまで自分がやっていた、
無理な働き方とか、
無理な笑顔とか、
その反動の怒りとか
自分がそうやって振舞っていることが
何だかおかしく感じるようになりました。
何を言っているかわかるでしょうか。
文句を言ったり、
批判したり、
卑下したり、
揶揄したり、
と言ったりすることは、
あなたが幸せを求める上で、
無意味ではある、ということです。
取り組むべき相手を取り違えて、
(とりあえず)嘲ったり、不平をいったり
していることで、
肝心の感情といつまでたっても
向き合うことができません。
別の角度から言えば、
そんな状態の自分のことを
不誠実と思ったり、
自信を無くしてしまったり、
というのもまた的外れですけどね。
働いても、
怒っても、
笑ってもいいのだけど、
元気がない自分なのだから、
それはそれでいいはずなのに、
なぜかそんなときの自分と、
そんな自分であるがゆえの
表面的な振る舞いに
ダメ出しをしてしまう。
一番大切な自分、
そして元気のない自分。
何かいけないことがあるのかな。
「それでよかったんだよ」
その一言を、自分にそう伝えてあげてください。
できることなら何度も。
いつも言うように、繰り返すことが
カギです。
伝え続けるうち、
行動とものの見方、そして感性が
自分に優しい方に変化していきます。
この変化が自分の周囲に波及し、
日常もまた優しく変化していきます。
するとまた、自分自身を受け入れやすくなります。
そうやって、私たちはゆっくりと
望ましい方向に変わっていくことができます。
ー今回の表紙画像ー
『柿』
大好きです。。。
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